ぽっしー’s blog

激ひまつぶし

『また、桜の国で』須賀しのぶ

素晴らしい作品に出会ってしまった!!!!

 

須賀しのぶさん作の『また、桜の国で』は初版が2016年に出版され,第156回直木賞候補作,第4回高校生直木賞受賞作である。

とまあ,そこそこ前の話題作を2020年の私が読むことになったきっかけは司書の方におすすめされたからである。好きな作家を教えたらこの作品を薦めてくださった。

さすが司書さんというべきか,天才的に私好みの作品を紹介してくださった。読み始めからドストライクでこんなに読む手が止まらない作品は久しぶりであった。500ページほどの長編で,ハリーポッター級の分厚さである。しかし読み切るまで本を読む以外,他のことはほとんど何もしないほど夢中に読んだため,あっという間に読み切ってしまった。夏休みだからできる所業である。

 

ざっくりあらすじ

作品の舞台は第二次世界大戦時のポーランド。主人公はロシア人の父と日本人の母を持つ日本大使館の外務書記生である。一人のシベリア孤児との幼いころの思い出とポーランドで出会った友人たちを思い,主人公は奔走する。

 

確実にネタバレを含まない感想

歴史を知っているがためにしんどくなることがしばしば。私はわりと歴史小説というジャンルが好きなのだと認識した。

しかしポーランドという国がこんなに大変な困難を何度も乗り越えて成り立っているとは全く知らなかったので,非常に勉強になったし,もっと知りたいと思った。地図から100年も抹消されたのちに復活する国が他にもあるだろうか。ちなみに読み始めてすぐにこの小説に魅了された私は近くにいた母に今度ポーランド行こう,と声をかけた。そしたらあっさり「オッケー」と言われたので驚いてしまった。

戦争やユダヤ人の迫害が話題の中心となるのでそこそこ残虐な表現もあるが,そこまでグロテスクではなかったので,グロテスクな表現が苦手な人でも大丈夫だと思う。私個人としてはもっと強烈なインパクトを残すためにもう少し詳細に述べられても良かったと思う。

青年たちのアイデンティティ,守るべき信念に対する葛藤もこの小説の見どころであった。それぞれ若干,立場は異なるが似た者同士の彼らがよき友人となれて本当に良かった(´;ω;`)

読み切った後は切ない,苦しい,悲しい気持ちでいっぱいになる。しかしじんわりとあたたかさが心に沁みてくる作品である。せめてもの希望を読者に持たせてくれてありがとう。

この本を気に入った人はかならず革命のエチュードを聴くことになるだろう。ついでに英雄ポロネーズも聴くでしょう。

本を読み切った直後の私は革命のエチュードを練習しようと思うだけ思った()。

あとオーディオドラマが作られたみたいだが,オタクが好きそうな感じなので映像化したら人気が出そう。戦争も伝えられるしいいのではないでしょうか。

 

 

ショパンを聴きながら優雅に筆を執らせていただきました。